Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

「【朗読】「桜の樹の下には」/梶井基次郎」

部屋の本棚を整理していたら、その昔大事にしていた學藝書林の「全集・現代文学の発見」というシリーズ本が出てきてしばらく懐かしさからパラパラとページを手繰って。その「存在の探求」(上巻)というテーマで紹介された最初の卷に載っていたのが元々好きな作家だった梶井基次郎の「桜の木の下には」と「闇の繪巻」という短編。解説を高良留美子という詩人がドストエフスキー等を引き合いに出して読み応えのある文章を載せていて印象に残り。

他に埴谷雄高まぼろしの名作「死霊(全)」や武田泰淳の「ひかりごけ中島敦稲垣足穂等先鋭の作家たちの作品が収録されていてちょっと背伸びしてこれらの作品群を読み耽った記憶が甦り。この學藝書林という出版社の本はもう古本屋等でしか見かけないマニアックな本屋、テーマ別の編集シリーズを探してよく買い求めたもの。

装本を粟津潔が担当していてデザイン的にも秀でた全集シリーズ。その「存在の探求」(下巻)には石上玄一郎「自殺案内人」、島尾敏雄「夢の中での日常」、坂口安吾「白痴」、花田清輝「楕円幻想」といった先鋭作家の作品が収録,編者の嗜好が窺われる文芸作品が多く、ここで初めて読んだ作家、小説家がいろいろ。また時間のある時にこれらの作品群を読み返してみようと。学生の頃読んだ印象と違って映る(か)。