Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

「内田樹氏がアルベール・カミュの哲学について語る」

一昨日、カミユの「ペスト」紹介した中田くんのYouTube「エクストリーム文学」が評判でかなりの視聴率。そのコメント欄にも多くの(多分)若い方が共感や賞賛の声、古いカミユ・ファンとしては嬉しさとちょっと戸惑い。非常にタイムリーな話題と彼(あっちゃんって言うんだ)の講談師顔負けの語り部としての才能に驚いて、それが契機となって昔のカミユの作品を再読。

代表作「異邦人」や「転落」は置いといて一番好きな作品だった「結婚」。「結婚」は「ティパサでの結婚」、「ジェミラの風」、「アルジェの夏」、「砂漠」という4つの小篇から成る言わば散文詩のような構成でアルジェというカミユの原点とも言える土地での思い出をエッセイ風に並べた作品。特に冒頭の「ティパサでの結婚」という叙情詩、まだ分かりもしないフランス語を発音しながら読んだことを思い出。全編、アルジェリアを中心とした地中海地方の大地への「生の謳歌」でありカミユという作家の初々しい作家デビューの一端を垣間みる。「ペスト」が困難な状況に立ち向かう勇気や団結を不条理という言葉で表現したのと違って、「結婚」では燦々と降り注ぐ太陽や透き通るような青い空,さわやかに吹きすさぶ涼風等を自然が与えてくれた大地との結婚という括りで謳っていた作品。