Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

昨日予告したポール・マッカートニィのスタンダード・アルバム『KISSES ON THE BOTTOM』の感想。
カヴァーもののアルバムは出していた、スタンダードを取り上げるのは初めてでその心意気に惚れて。ロッド・スチュアートやチャーリー・ワッツリンゴ・スターといったイギリスのロックのスターが好んでアメリカン・ジャズのスタンダード曲を歌うということに注目。
年齢的なアプローチもさることながらスタンダードというジャンルが究極のカヴァーにとれる部分があるからでは。ポールの選曲はロッドと違って誰もが知っている曲ではなく、ポールの嗜好に偏ったセレクション。
例えば5曲目の「The Glory of Love」と12曲目の「Get Yourself Another Fool」の類似点や2曲目の「Home (When Shadows Fall」と9曲目の「Always」の同じ曲調、さらに3曲目の「It's Only A Paper Moon」と10曲目の「My Very Good Friend The Milkman」もよく似ている楽曲。
7曲目の「Ac-Cent-Tchu-Ate The Positive」と13曲目の「The Inch Worm」はアクセント曲といってよい配置でその中にポール自身のスタンダード新曲「My Valentine」と「Only Our Hearts」を持ってくるあたりは流石とうなり。
ポールはインタビューであの有名なキャピトル・レコード・タワーのスタジオで録音することの戸惑いと怖じ気づいたことを素直に告白、あのポールをしてそんな緊張を強いるアメリカの伝統スタジオとプロデュースを担当したトミー・リピューマの存在も大きかったと。
また何度目かの新婚生活の息吹が歌声や新曲の歌詞に感じられ大変前向きな気持ちが出ていたように。7曲目の選曲はそんなポールの意気込み。
neachが全体を聴いて最初に反応したのは最後の「Only Our Hearts」という新曲でこれは「Yesterday」「My Love」のようなポール・スタンダードに育つ曲。
それぞれの歌詞はオリジナル作者の創作、ポールが歌うと彼自身の言葉ととれ。「I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter」の♪Kisses on the bottom♪という箇所や「We Three」の♪My echo, my shadow, and me♪、それに「Always」の♪Not for just an hour, Not for just a day, Not for just a year, but always♪とい件りはジャズ的な言葉の使い方で感心。
いろいろ思いが交錯する最近にない入れこんだアルバム,各曲の別ヴァージョンこちらに,興味のある方(時間のある方)は覗いて。