Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

八月の狂詩曲・予告編」
やっとカラー作品も含めて黒澤作品30作を制覇。どの作品も見せ場があって甲乙付けがたい力作ばかり。総じて主役の三船敏郎志村喬などの演技もさることながら、脇役の三井弘次、千秋実、左ト全、井川比佐志、千石規子、三好栄子、中北千枝子といった地味な俳優さんの個性豊かな演技が印象的。
特に「赤ひげ」における香川京子の鬼気迫る演技や杉村春子山田五十鈴原田美枝子らの女悪役ぶりは見事でこれらの悪女の描き方に黒澤監督の特徴を感じ。また一般的に勧善懲悪のストリー立てや人間味あふれる登場人物の方が感情移入しやすく、人間の性(さが)や堕ちていく人物像を描いたものよりは好きな作品。全般に雨のシーン(それもどしゃぶり)が多かったり、夏の設定で汗を拭う場面もよく出てきてこの監督の好みが推し計ることが。現代劇と時代劇とでは圧倒的に時代劇向きの映像監督、白黒作品の方に本領が発揮。参考エピソードで脚本家や音楽担当作曲家、役者との対立の話しを聞くとかなり自我の強い監督さんだとも,やはり日本が誇る「世界のクロサワ」という評価も当たっているように。こんなに夢中になって一人の監督を追っかけたのも久し振り、こういう機会を与えてくれたTSUTAYAのサービス精神に改めて感謝。(蟻の行進のシーン)