Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

本を岩沢さんに返し、その感想を述べ合い。
五木寛之の『サンカの民と被差別の世界』、読み出したら止まらずとても興味深い記述ばかり。瀬戸内海に住む海の民「家船(えぶね)」生活者と山の漂泊民「サンカ」の実態を沖浦和光という民族学者の実証的な調査を元に探り出し、マージナル・マンと呼ばれた日本の先住民にスポットを当て、更に差別をされた側から浅草弾左衛門や非人頭の車善七という人物の紹介も併せて賤民という階級があったことを知らせてくれた良書。
特に船の上で出産し、船の中で死んでいった人々は士農工商身分制度に則る日本の農本主義のシステムからはずされ、やがて差別されていく実態を紹介している点が驚き。
五木寛之という小説家はこれまで特に関心を払って読んだことのない作家、自身、引揚げ者という体験から差別される側に立って書いているので説得力。