Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

「三島由紀夫に魅せられた人たち」

先日、気になった映像「我が心の大滝詠一」とともに印象に残った「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」というドキュメンタリーの感想。neachは昭和25年の生まれで大学に入学したのは1970年という丁度大学紛争まっただ中の混乱期,特に大学紛争にコミットした立場ではなくいわゆるノンポリ学生として主に雀荘に通っていた。
あの三島と東大全共闘の討論会にもそんなに関心を持っていたわけでは(ない)。時代の風潮として友達や仲間が「学生運動」に参加して逮捕されたり大学構内で「うちゲバ」という闘争を目の当りに見ていたので無関心でも(ない)。当時の大学生が避けては通れない社会現象。
その先鋭の東大全共闘と話題の人気作家、三島由紀夫が東大内で討論をしたということでそれなりの関心を持って眺めていた記憶,どういう討論会だったかは覚えて(ない)。

その後に起こった事件「三島由紀夫が盾の会会員と共に市ヶ谷自衛隊基地に乱入し憲法改正のため自衛隊の決起を呼びかけた後に割腹自殺をした事件(三島事件 1970.11.25)」の方が衝撃的で覚えて。作家として人気も名声も得ていた三島由紀夫の起こした事件は割腹自殺という結末で未だに記憶に残っている社会現象。その三島が単身東大に乗り込んで全共闘の活動家たちと討論を重ねた記録を今回初めて観た、先ず印象に残ったのは「全共闘屈指の理論家」と紹介されていた芥正彦という活動家が小さな赤ん坊を抱えて登場し、三島と渡り合うシーン。演劇人で今も演劇に関わっている人と分かり興味が。確かに三島と対等に渡り合える論客で現在も活躍している演劇人。

その芥を相手に三島は上から目線ではなく対等に発言している点も好感が。書くということの意味や行動することと社会との関わりや天皇の位置づけ等二人の会話もすれ違うことなく、聞いていても話の論点がずれない対話。番組の構成も芥をはじめ関連論者をうまく登場させあまり無駄なシーンがなかったこともよかった。

多分、多くの聴衆も三島に攻撃的ではなく最後は三島を迎え入れていたように。その意味でもいい討論会であったと言ってもよろしいのではないでしょうか。時折挿入される解説者(内田樹くんや平野啓一郎さん)等のコメントも分かりやすく納得できるもので番組の作り手の意図がよくわかるもので観れてよかった