Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

昨日のSP講座の特集は生誕百年となる長門美保。すぐに反応する人がどれだけいるのでしょう。Neachも名前だけは聞いていましたがあまり馴染みのない方だったので郡修彦さんの解説にすがることに。
長門美保東京音楽学校出身の声楽家で戦前・戦中を通してキングレコードから数多くの声楽曲と愛国歌を残した日本を代表するオペラ歌手。この日紹介された15曲はその内の愛国歌を除くクラシック曲や唱歌を中心に戦後の珍しい音源、三越ホームソングから2曲も併せて郡さん自慢のいい音で紹介。例えば「野ばら」や「ミネトンカの湖畔」「故郷の廃家」「アベマリア」といった外国曲に日本語訳詞をつけたものや、「故郷の空」「庭の千草」「蛍の光」「仰げば尊し」といったあちらの民謡で超有名な唱歌などを美しいソプラノで。全体に高音の伸びが素晴らしく、SP盤の再生音としては非常に難しい音域のものが多(く)。でもそこは流石郡さんん、盤質のよいものを選んで施音、高音も割れずに再生。そのことを最後に感心していたお客さんも。
正統派の歌手として昭和(特に戦前)に確かな足跡を残した歌手として知っておくべき逸材。郡さんの解説は大日本雄弁会講談社所属のキングレコードの成り立ちからその特徴も細かく解説してくれ大変勉強に。ドイツのテレフンケンとウルトラフォンの関係や講談社の野間社長の姿勢等。
三越の当時の岩瀬社長が巷に氾濫している不健全な歌ではなく楽しくて美しい歌をという要望で西條八十古関裕而に発注した「三越ホームソング」の第1作が長門美保さんの「母を想えば」だったことで国民歌謡曲がその後13曲も生まれたことにも興味を。西條・古関のコンビが作る歌が悪かろうはずがない(@宮治さん)と思われるので全部まとめて聴いてみたい気持ちに。三越さん、発売してくれないでしょうか?