Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

もう今週は池部良特集で通すことに。池部さんと岸恵子さんが共演した小津作品、『早春』。数ある小津作品の中で『早春』は実は苦手の映画。倦怠期の夫婦の関係や不倫、更には復員した夫の虚無感等が伏線になっている物語、池部良演じる主人公の実年齢が30歳ちょっとという若い世代で描かれており、小津作品では珍しい設定。夫婦間の危機を描いた作品としては『風の中の牝鶏』がその前、こちらはちょっと暗い夫婦間の諍いがあって馴染め(ず)、『早春』もどこか煮え切らない部分があって感情移入できない作品と思って。池部良という俳優の個性にもよるものと思っていましたが、戦争体験という重要な要素を加味した演技とすれば十分に納得のいく作品だと改めて思い。
この映画で一番インパクトがあったのは金魚役を演じた岸恵子、池部扮する杉山を誘惑し、自由奔放に振る舞う演技は一際光って。また杉山の女房役の淡島千景も子供を早くに亡くした夫婦という設定を見事に演じて。ちょっと苦手と書いたのは多分子供の世界の描写がなかったことと同僚のサラーリーマンの存在が希薄に感じたから(か)。中野翠さんのエッセイでも「通勤仲間諸君がおやじぽく映るせいか?・・見終わった時に何か物足りない」と評して。岸恵子もどう見ても”ズベ公”には思えないということも指摘。岸さんの気品が邪魔しているのかも。
尚、岸恵子さんのお誕生日は昨日でNeachも一回りと1歳の誕生日が昨日。他に古関裕而氏も同じ日に生まれているっていうのがちょっと自慢、ミクシイ情報からでしょうか、数人の方からお祝いメッセージを。重ねてお礼を.