Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

「The Penguin / Raymond Scott」
この度日本初となる『レイモンド・スコット・ソングブック』が2枚組CDで発売。制作者は『古川ロッパ傑作集』のデザインでもお馴染みの岡田崇さん。監修・解説からデザイン・編集・製造・販売と何から何まで一人で行った自主制作盤
レコード会社や制作会社、グループで取りかかるより丁寧で緻密な製品。先ずその洋風7インチ・シングルボックスの作りからして思わず頬ずりしたくなるような秀逸なデザインと贅沢な造作。更に中を開けると100ページにも及ぶ詳細な解説とレアな写真満載のブックレット、レイスコ年表、「DESIRE」の復元楽譜、カード等が収録されておりCDスリーブが何とも粋な作りとなっていて本職、デザイナー岡田さんの思い入れたっぷりの内容物で一気にお得感にとらわれ。うーん、こんな贅沢な作りで採算がとれるのだろうか、などと余計な心配をしてしまうほど拘りの構成物。肝心のCDもDISC-1にはレイスコ・アーカイブから厳選した32曲が収録されており初音源化のものばかり。DISC-2は電子音楽の先駆者、ジャン・ジャック・ペリーの新録!をはじめ国内外の先鋭アーティスト(細野晴臣、徳武弘文、上野耕路他)によるカヴァー・ヴァージョンが全て新録で18曲も、その多岐に亘るアーティスト群を見るだけでも凄い!と叫びたくなるようなセレクション。もうディスクを聴く前にそのパッケージに圧倒されること請け合いの優れもの。
流通を通さず、専門サイトとアマゾン、それに武蔵小山ペットサウンズ、渋谷ハイファイ、下北沢ノアルイ等の有名レコード・ショップのみの販売で捌こうという岡田さんの心意気に惚れ。同じ自主制作盤を出した経験のある者からするとこの英断はあっぱれ!とエールを送りたくなるような決断。そこには「作りたいモノを、作りたいカタチでお届けしたい」という岡田さんのアーティスト魂を感じ、最近になく深く感動したリリース。非多くのリスナーに届くよう。絶対に損はさせ(ない)。