Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

「Diary / Neil Sedaka
鴨下信一という演出家の書いた『面白すぎる日記たち』を再読。「岸辺のアルバム」や「ふぞろいの林檎たち」などのテレビ・ドラマを演出した方で随分前に「古川ロッパ」日記に関しての記述があったのでパラパラ読んでいた新書。neachもいわゆる「記録魔」で1996年10月から毎日更新のWEB日記のようなものを書き続けていてそれがどういう意味があるか知りたくなったのでまた本箱から取り出してみた。ここにはロッパさんをはじめ樋口一葉石川啄木永井荷風高見順といった文豪から小津安二郎横尾忠則徳川夢声大宅壮一等々の日記愛好家の特徴のある文章が紹介されていて確かに「面白すぎる」本。
特に50余年間、しかも死の前日までしっかりとした文体で日記を残した入江相政(すけまさ・昭和天皇の侍従)や気温を華氏で克明に書き綴った岡本綺堂も長大な日記を残していて興味が募り。更に小津安二郎に至っては映画と同じように簡潔を極めた日記を残している、これが3〜5冊の日記帳があり、いちいち同じ内容を書き写しているのでした。鴨下さんはその記述を表にして比較、書き写す度に表現が簡潔になっていくことを指摘。これはシナリオ・ライターの「本直し」というクセでこれが小津映画の解明にも繋がると。「人はなぜ日記を書くのか」という永遠のテーマに迫っている大変興味深い本。
最後に板倉勝宣という大正時代の登山家の「山と雪の日記」を挙げこれは日記ではないが生(ライフ)のあかしがあり日記と名付けることを納得する気持ちがある、と結んで。うーん、この「一語一絵」も一体いつまで続き、どういった意味があるのか、一人で考えて。