Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

「君はだれなんだ/溶け出したガラス箱」
「一期一会」という言葉。正に西岡たかし、木田高介斉藤哲夫の三人で1970年に出した『溶け出したガラス箱』というアルバム(ユニット名は「吐痙唾舐汰伽藍沙箱」という当て字で表記)はそんな形容がピッタリ当てはまる世紀の名盤と呼んでいい一枚。neachは西岡かたしがリーダーだった「五つの赤い風船」をよく聴いていて知った摩訶不思議なアルバムとして当時買ったもの、今でも時々取り出しては聴いているフェイバリト・アルバム。
西岡たかしの不思議なサウンドとシュールな歌詞が一度聴いたら忘れられない音として耳に残り、そこにマルチ・プレイヤーの木田高介のバラエティ溢れる風味が加わって音楽的にも高度な世界を構築し、更にデビューしたての斎藤哲夫の初々しい世界が広がって日本のフォーク界に奇跡的に現れたまさに「一期一会アルバム」だと思って。どんなにほめすぎても誇張ではないくらいどのジャンルにも属さない早すぎた才能が開花した稀有なアルバム。
西岡たかしのもう一つの顔が公に現れたとでも(いうか)、木田高介という夭折した伝説的プレイヤーの魅力いっぱいのアルバムとでも(いうか)、若き斎藤哲夫の原点ともいえる素晴らしいアルバムがこの『溶け出したガラス箱』。neachの世代ではちょっと評判になったアルバム、聴いたことのない最近の感度のいいリスナーにも聴いてもらって感想を聴きたくなるような先駆的な実験作にも。
久し振りに聴いてみたところ、全部歌詞を覚えていて一緒に歌えたの、きっと自分の中に擦り込まれてしまった珍しいアルバム。意『URC名盤コレクション』シリーズの1枚。未発表のバッキング・トラックを収録した2枚組デラックス・エディションとなって発売。直ぐに購入して店員の東尾さんにこのアルバムがいかに優れているかを力説。このやや上ずったレビューを読んで「本当ですか?」と思った、アナタ!是非CDショップへ行って見つけて購入してみて。