Neach’s One Phrase

ニーチ観察日記→ニーチ報告日記です。

いつも内田樹くんから新刊書が送られて。最近の彼の新刊ペースに追いついていかず、ついつい頂いているだけ。今回も「増補版 街場の中国論」という新著が送られてきて早速拾い読み。例によって目からウロコの落ちるような洞察がなされていて大変面白い中国論。
その中で以前、彼のブログでも気になった用語が。「負けしろ」というアイテム。neachの解釈ではいくら施政者がしくじろうと国や組織は革命が起こったり軍が反乱を起こしたりせず、安泰である状態を指すよう。中国はこの「負けしろ」の幅が狭いので尖閣諸島の領土問題等は同じ次元で論じるべきではない、というのが内田くんの論拠のよう。
この「負けしろ」という造語?、うまいことを言うなと思う反面、肯定的にも否定的にも日本人の心性を衝いた言葉だなと、政治以外のいろいろな局面においても「負けしろ」の幅の多い方が優位に立っているのかちょっと考えて。例えば恋愛をして徹底的に傷ついてしまった場合でも「負けしろ」で説明がつくより、ボロボロになって立ち直れない人間の方が信じられると思う。安泰という状態の中にはそれを経験値として跳ね返すパワーが感じられないように。いろいろなケースで問題を抱えている者の方がより深い判断ができるのでは、などと屁理屈をつけてみたく。決して内田くんの洞察に異論を唱えているのでは(ない)、「負けしろ」という言葉の持つ意味を自分なりに考えてみたら様々な局面が浮かんできて余計なことに思い馳せて。